天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


「そろそろ本題に入ったらどうだ?聞きたいのはそんなことではないだろう?」


「聞きたいことは二つある。一つ目は白蘭のことだ。どういう経緯で天界に行ったのか…まさか無理やり連れ去ったのではないだろうな」


今度は紅蓮が鋭い鳳凰の目を光らせた。


「聞きたいか?」

「教えろ」

「白蘭を真の姿に戻したのだ。天女の真の姿にな。それと同時に魔界での記憶を取り戻した。…お前の無力さに絶望していたよ」

「それは…本当なのか?」


白蘭はそんなことは思わない。

疑う紅蓮に失笑すると月影は続けた。


「実際、会いに来ないだろう?すでに白蘭はお前を忘れ天界で健やかに過ごしている。」


確かに会いには来ない。

しかし実際に会って白蘭と話をしない限り信じられなかった。

だが、そんな手段は持ち合わせていない。


< 70 / 258 >

この作品をシェア

pagetop