天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
宮の入り口を見上げると、きちんと「天后宮」の名が彫られていた。
やはり、ここは天后宮なのね。
『「はやく陛下を安心させ天界を支える母となることを私達は望んでいます」』
先ほどの神官の言葉だ。
…はやく…か。
今後何年、私は月影を待たせる気でいるのだろう。
自分の気持ちに整理がついていないのに、こんなところにいてもいいのだろうか。
「白蘭様…?」
宮に入ろうとしない白蘭に侍女が声をかけた。
「皆、下がってくれる?一人になりたいの」
「しかし…」
「お願い。陛下には私がそう命じたと言っていいから」
「…かしこまりました」