黒歴史な天才外科医と結婚なんて困ります!なのに、拒否権ナシで溺愛不可避!?
研究室を出たところで、やっと解放される。
「修! また何を勝手に言いだしたの!」
「くるみが昔みたいに素直にならないからだろ。外堀から埋める方が今のくるみには向いてるのかと思っただけ」
修はシレリと言う。
「あのねっ! だからって、そんなうそ、勝手に言いふらさないでよ! お祝いって何よ! そんなことされても困る!」
「本当に結婚するんだから嘘じゃないだろ」
修はそう言うと、私の髪を撫でる。
私はその手を払って修を睨んだ。
「しない!」
すると修は口端をにやりと持ち上げる。
「ここで何かしてれば、あっちの研究棟からも、病院からも見えそうだな」
「なに言って……」
私は思わず一歩足を引いて走り出した。
しかし、修のほうが一足早くて、私の手をパシリと掴む。
「くるみももう、何も分からないほど、子どもじゃないだろ?」