蒼い炎

 月日が過ぎる。あれから花嫁は行方不明として扱われ、その所在を探すものなどいなくなった。だからと言って、彼女は街に帰ることはせず、俺の隣にあり続けた。
 ステファナとの生活は1人きりであった生活に劇的な変化をもたらした。
「テオファニス様!テオファニス様!!」
「なんだ、騒々しい」
 けたたましい足音と豪快に開かれる執務室のドア。開けたのは紛れもなくステファナで、その子どものように汚した衣服にため息をつく。
 俺の心労など意にも介さずステファナは生き生きとした顔で両手に抱えてくるものは、随分とみずほらしい成りをした毛むくじゃらの生き物。
「ステファナ、お前はもう少し気品をだな…」
「お庭に入って来たんですよ!前までは触らせてくれなかったのに、ようやく抱っこさせてくれました!」
 小言さえ完全に届かない。どうだと見せつけてくる毛むくじゃら。…汚い。
 そんなものをさぞ嬉しそうに抱えるステファナに、もう一度ため息をつく。
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