蒼い炎

 ここに来てからすぐ、ステファナは髪を切った。腰より長かった髪は肩にかかる程度の長さになり、頼んでもいないのに家事全般をやり始めた。必要ないと諭しても、頑なに拒否される。用意した煌びやかなドレスには目も暮れず、どこから調達したのか貧相な服に身を包み、汚れ仕事からなんでも行う。
 ステファナの出生は平民の中でも、貴族に近い長座の娘。誰だ。このような気品のない行動をするように育てたのは。
 描いていた未来図がことごとく打ち砕かれたのは事実。だが、それを楽しむ自分がいるのも事実。相反する理想と現実で、落胆していいはずなのに、それに喜びを感じる。奇怪な日々だ。
 それよりも、早くこの毛むくじゃらを追い出したい。一刻も早く。
「ステファナ、それを…」
「ペットにしませんか!?」
「…は?」
「せっかく懐いてくれたんです!それにほら、愛嬌があって可愛いじゃないですか!!」
 ことごとく、俺の理想を踏みにじってくる。
 愛嬌があるとはどの辺に。先ほどから不機嫌そうな表情しか見せておらん。ステファナの感性はどこかずれているらしい。
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