蒼い炎

 急に意識を飛ばした少女に青年は舌打ちをする。
 抑え込んでいた手を離し、血が滴る自身の手首を乱暴に舐め上げる。
「手間をかけさせる」
 人の世で偶然発見した同胞の幼子。連れ帰ったはいいが、簡単に見つかるはずだった親が一向に姿を見せない。
 そんなことはありえないはずだ。我々が子を授かることなど滅多にありはしない。貴重な子孫をみすみす手放すような同胞がいるとは到底思えない。
 だが、現に親は現れない。子がいなくなったとあればすぐに騒ぎになるはずなのに。そんな連絡はどこからも入って来ない。
 青年は立ち上がり、乱暴に少女が乱した布団をかける。
 それにしても、あまりにもみすぼらしい。同胞には珍しい金糸の髪だが、少女の顔や体に絡みつきその美しさはみじんも感じられない。纏った服でさえ、裾さえ整えられていない薄汚れた白のワンピースだ。枝のように細い手足は傷つき、身長も100cmほどしかない。
 青白い肌は血色がなく、いくら同胞と言えど、不健康そのものと言ってもおかしくない。
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