蒼い炎

 一度仮眠を取った後、すぐにキリルをファナの部屋に呼んだ。
「キリル、ファナにどこまで教えた?」
「我々の世界については粗方ですが…。能力や代償のことはまだ」
「そうか…。奴らのことも言っていないな」
「はい。テオファニス様が不在で不安定なファナ様を追いつめるようなことは言えませんでした」
「分かった。…ファナはそんなに落ち着かなかったのか」
「はい。玄関のドアは開けないように言いつけたせいか、その前でじっと扉が開くのを待っていました」
「…そうか」
 眠っているファナの頭を撫でる。血も飲まず、毎日ドアの前で待ち続けていたのか。まるで、主人の帰りを待つペットのようだ。
 ファナの頭を撫でる。こんなに小さいのに、お前は偉いな…。
「…あの、テオファニス様」
「なんだ、キリル」
「…このようなこと、申す必要はないのかもしれませんが…ファナ様の能力についてです」
 キリルは言いだしにくいように、何度も口にするのをためらう。
 続きを促すよう視線を向けると、キリルは眠るファナを見つめ、意を決したように俺と視線を合わせる。
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