蒼い炎
「ファナ様は、治癒能力などではなく、時戻りの力…なのではないかと」
「…時戻り、だと?」
キリルは重々しく頷く。
時戻り…そのような力、聞いたこともない。だが、もしそれが本当ならばファナは…。
「…キリル、お前はいつその仮説に至った」
「はい。ファナ様がテオファニス様の傷を癒したあの時、テオファニス様の手に…」
急にはっとしたように口を閉ざしたキリルは、その続きをためらった。
手に…。視線を落とせば、薄くはなっているものの、確かに身に覚えのないはっきりとした火傷の跡。
『ッテオファニス様!!!』
ッ―…。そう、か。俺の体の、50年の時を戻したのなら、これはあの時の…。
「テオファニス様…」
「いい、続けろ」
「…はい。その傷が現れたのを見て、仮説にいたりました」
「…キリル、その医者。ファナの能力に気づいた可能性は」
「分かりません。ですが、違和感を持った可能性はあるかと」
「…まずいな」
思い出されそうになった記憶は、再び記憶の奥底に鍵をかけて閉じ込める。
感傷に浸っている場合ではない。それよりも、ファナの能力が露見すれば、確実に…。