蒼い炎
「王が来る」
「…はい」
時戻り。そんな能力が現実にあるとすれば、王は何としてでも手中に置くはずだ。そして、その代償すら顧みないはず。
ファナは孤児だ。誰の血縁とも知らず、縁者は俺ときた。王にとって、これほど都合のいい道具はいない。例えファナが死んだとしても、誰からの反感もなく、捨て駒にできるのだから…。
「…ファナに能力は使わせない。このまま、隠し続ける」
「もちろんです」
必ず、守る。王の手から。この世界から。
今度こそ、守り抜いて見せる。
「…ん、んん~」
「ファナ」
「…ふぇ」
目を覚ましたファナは、おかしな声を出しながら俺を見ると起き上がるなり膝の上に乗ろうとする。抱き上げて膝の上に乗せれば小さな手をいっぱいに広げ、抱き着いてくる。その背を撫で、好きなようにさせる。
このぬくもりを、この重みを、今度こそ、失わないように…。