蒼い炎
「…子は、所有物ではありませんが」
「キリル。では、お前は俺の従者ではあるが、俺の所有物ではないと?」
「いえ、私はテオファニス様の所有物でございます」
「なら、何が違う。子は親の言うことを聞くものだ。あれは、俺の所有物にする」
「…仰せのままに」
考えを覆そうにない青年に従者は折れて、深々と頭を下げる。
そんな従者を鼻で笑った青年は指を鳴らす。その音で部屋に入って来たのは、黒髪に黒目の顔も容姿も全く同じ数人の女たちだ。
「愛すべき幼子を湯殿へ」
「「「御意」」」
「テオファニス様…」
「俺の所有物があんなみすぼらしくてあってはならない。そうだろう。キリル」
「おっしゃるとおりです」
女たちが下がっていくのを横目に、青年は窓へ視線を向ける。
闇が続く。彼らの時間に光などない。ただ広がるのは闇。ただそれだけだ。