蒼い炎

 不意にドアをノックする音が聞こえる。身を起こし、返事をするとキリルが姿を見せた。
「…テオファニス様、そろそろ王への献上品を」
「…そう言えば、まだ用意していなかったな」
 ファナを拾って忘れていた。王への献上品である人間の回収。
 もうそろそろ動かなければいけないだろう。
 眠ったままのファナに視線を落とす。…しばらくは起きないはず。今行けば夕食には間に合うだろう。
「…キリル、すぐに出る。用意しろ」
「っは。仰せのままに」
 頭を下げたキリルが部屋を出て行く。眠ったままのファナをもう一度見つめ、冷えないように体に布団をかける。
 ファナを起こさないように部屋を出て、リリスに留守を預け、キリルと共に人の世へ下った。
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