蒼い炎

「ファナ、俺はお前の父親であり、主だ。お前の全ては、俺の物だ」
「…?」
 分からないと言うような顔をするファナに、青年は笑う。
「俺の名は、テオファニス」
「…ふぁあな」
「お前がファナだ。俺はテオファニス」
 ファナは首をかしげる。そんな行動でさえかわいらしいと思えるのは、それだけファナが一生懸命だと分かっているからだ。
 青年、テオファニスは何度もファナに言い聞かせ、ファナは一生懸命繰り返す。
「…てお…ふぁ…な」
「…まぁいい。テオと呼べ」
 結局妥協したのはテオファニスの方だ。何度かテオと言い聞かせると、布団に隠れていた小さな手がテオファニスの手を掴んだ。
「てお…」
「そうだ。偉いぞ、ファナ」
 撫でてやれば嬉しいと言うように顔を緩ませたファナ。
 こんなにも愛嬌のある子を捨てた奴がいた。テオファニスの脳裏にそれが思い起こされると自然と表情が硬くなる。異変に気付いたファナが怯えるように顔を歪めるのを見て、すぐに表情を元に戻した。
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