蒼い炎
客間の戸を開けると、商人が3人、自前のトランクケースなどを広げ、待っていた。
「テオファニス様、首輪がご所望であるとお伺いいたしました」
「…」
わざとらしい笑みを浮かべた男がごますりをしながらテオファニスに近づいていく。他の2人の商人は自身の荷物の後ろに控えていると言うのに、この男の行動はあまりに無礼。
そして何を勘違いしたか、この男が持って来た首輪と言うのは重厚があり、とてもファナの首には似つかない物ばかりだった。
それに対して静かに待つ2人の商人の物はアクセサリーに近いものが並ぶ。
テオファニスは、すり寄ろうとする男を無視して静かに待つ2人の商人の前に行く。
普通のネックレスやドックタグが並ぶ。これでは贈り物のようになってしまう。
「…首に巻くものがいい」
「首に巻く…物でいらっしゃいますか」
商人は思案しながらトランクケースを漁る。隣の商人も探し出した。
探すのを待っていられず、テオファニスも自ら商品に目を通していく。
「旦那様、こちらなどいかがでしょう」
視線を向けると、店主が手にしているのは黒いリボンの中央に鈴がついているチョーカーだ。
それを手に取ると、鈴が小さく鳴る。ファナの声のように静かだが、かわいげのある音を出す。