蒼い炎
「気に入った。これにする」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げた商人にキリルが紙幣を渡す。用が済んだ商人はあっという間に開けていたトランクに商品を詰め込み、去っていった。
テオファニスは彼らが去るのを見送らず、買ったチョーカーを片手に部屋を出て行ってしまった。キリルが商人たちを見送り執務室に向かうと、仕事用のいすに腰掛けたテオファニスは今購入したばかりのチョーカーをその長い指で弄んでいた。
「ファナ様に?」
「子どもは勝手にどこかへ行くからな。目印だ」
テオファニスはチョーカーを机に置き、積み上げられた書類に手を伸ばす。
「失礼いたします」
ノックと共に入って来たのは、灰色の髪を後ろでくくった赤目の少女だ。シックなメイド服に身を包んでおり、控えめな雰囲気を醸し出す少女によく似合っている。
「コーヒーをお持ちいたしました」
「ありがとう。リリス。そこへ」
「はい」
邪魔にならない完璧な位置にコーヒーを置く少女はキリルに顔を向ける。その場でバグカップを手にしたキリルがそれを口にする。