蒼い炎

 服を着替え終えると、ファナが手を掴んできて、指をくわえる。
 昨日、吸血したせいで飢えも早いか。ベッドに腰掛け、右の袖をまくる。ファナの口元に持っていくと、素直に噛みつく。
 だが、相変わらず下手だ。口の端からいつもこぼす。それを拭ってやると、口を離し、噛み跡を舐めてくる。小さな舌が2、3回噛み跡を舐めると血は止まった。
「いい子だ、ファナ」
 撫でてやれば、嬉しそうに笑う。だが、すぐにうとうとして、すぐに眠ってしまった。
 腹がいっぱいになればどうしても眠くなるのか…。
 ファナを抱き上げ、部屋を出ると待ち構えていたキリルが頭を下げる。
「おはようございます。テオファニス様。お加減が悪いのですか?」
「いや、そうではない。ファナを部屋に」
「テオファニス様、おはようございます。その役は私が」
 やって来たリリスにファナを預け、キリルを連れて執務室に向かう。
「テオファニス様、本当に大丈夫なのですか?」
「そう心配するな、キリル。能力を使ったわけでもない。ただ…ファナの血に少し酔ったのかもしれないがな」
「ファナ様の血に…ですか?」
「あぁ。あれは多用できん」
 甘いとは思ったが、まさか3時間も寝過ごすとは思いもよらなかった。
 ファナは楽しませてくれるだけではないようだな。
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