蒼い炎
「ファナ、リリスと屋敷の中を覚えてこい」
「?」
「リリス、ファナにドアを開けさせて覚えさせろ。ただし、地下と玄関だけは開けさせないように」
「かしこまりました。ファナ様、リリスとお散歩してくださいますか?」
ファナを降ろすと、リリスが片膝をつき、手を差し出す。俺の手を掴んだままのファナが不安げに見上げてくるのをなだめる。
根気よく待つリリスにようやく手を伸ばしたファナは、俺の手を離してリリスの手を握る。
「行きましょうか、ファナ様」
「…てお?」
リリスに手を引かれて歩くファナ。だが、急に振り返ると足を止める。ついて来ないのと言いたげだな。
「ファナ、リリスと行くんだ。俺はまだ仕事がある」
「…ぷぅ」
…ほう、拗ねたか。頬を膨らませるファナにリリスは目を丸くしたが、やがてくすくすと笑みをこぼす。
リリスに促されて何度も振り返りながら足を進めるファナ。部屋を出ると、流石にあきらめたのか前を向いて歩き出した。