蒼い炎

 30分ほどかけて屋敷の中を見て回ったファナとリリスが執務室に戻ってくる。
「てお~」
「ファナ、覚えたか?」
 まっすぐ駆け寄ってきたファナを抱きとめるが、聞いていないのか甘えることで精いっぱいだ。
「リリス、ご苦労だったな」
「いえ、私も楽しかったです」
 抱き着いていたファナがリリスを見て笑う。大分懐いたみたいだな。
 …そう言えば、ファナの顔を隠す金糸の髪を撫でる。体力をつけさせることを優先して髪を整えさせるのを忘れていたな。
「リリス、ファナの髪を切ってやれ」
「…私が、ですか?」
「不服か?」
「いえ、私でよろしいのでしょうか…」
「何の問題がある。キリルの髪も切っているだろう」
「…はい。承知しました。すぐに準備いたします」
 リリスはこういうことも好きだからな。嬉しそうな顔で執務室を出て行く。
 ファナは首を振って結局髪はボサボサだな。
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