蒼い炎

「ファナ、お前にとって俺はなんだ」
「…おとーさん?」
「分かっているんだろ。父に敬語など使うな」
「で、でも…テオは、えらくて、すごい…」
「ファナ、この世界では親を敬称で呼ぶのは王族くらいだ。お前は普通の子でいい」
 リリスが困ったように笑うが、この嘘は貫かせる。ファナがリリスやキリルのように振舞う?考えただけでも気持ち悪い。それに、こんな幼子の口からあんな口調が飛び出すのは期待外れすぎる。
 ファナはこのままでいい。多少賢くなったとしても、あどけないままでいいんだ。
「ところでファナ、なんだその恰好は」
「…テオのふく」
「ドレスが足りなかったのか?それとも気に食わないのか」
 目を見開いて首を横に振る。ならばなぜそんな男のような恰好を…。
 子どもとはいえファナは女だ。着飾りたいものではないのか。昨日は淡いピンクのドレスを着ていたのに。何が気に食わなくて俺の古着などを着ているんだ。
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