蒼い炎
「ごめんなさい、キリル」
「…はい。では…」
話しはじめようとした直後、下から玄関の開く音が聞こえてくる。おかしい。リリスが屋敷を出ることはない。テオファニス様がお戻りになられたのでは…。
「キリル、いまの…」
「ファナ様はここでお待ちください。様子を見てまいります」
ファナ様を図書室に残し、急いで1階に向かう。不意に血の匂いが鼻をかすめていく。
「テオファニス様!!?」
リリスの悲鳴のような声が聞こえてくる。その声に嫌な予感が頭を過る。
階段を降り切ると、開いたままの玄関にホールの中央付近まで引きずられてくる何か。城の衛兵が引きずっていた何かを手放し、ホールの中央に捨て置かれた何かは血まみれで、血の匂いが強く鼻を突く。
リリスが、衛兵たちが置いた何かを揺さぶる。…まさか、テオファニス様が…。そんな、なぜ…。
「お前、あれが起きたら伝えておけ。今度命に逆らえば、いくら貴様でもあれでは済まぬとな」
衛兵が去っていく。玄関のドアが我々をここに閉じ込めるかのよう閉まった。