蒼い炎
しばらく動けなかった。主がこんなにもやられたというのに、私は、去っていく彼らに何も…。
ふつふつと湧き上がるのは憎しみか、それとも自分への失望か。
出て行った奴らをコロス。獰猛な殺戮本能が目を覚ますのをそのままに閉まったドアに視線を向ける。
「テオファニス様!分かりますか?テオファニス様!!」
ッ…そうだ。そんなことをしている場合ではない。
頭を振り、手首にかみつく。落ち着け。今すべきことは、テオファニス様の傷を癒すこと。
「テオファニス様!私が分かりますか?テオファニス様!!」
「キリル様、医者を呼んできます!」
リリスが飛び出していく。いくら呼びかけてもテオファニス様の意識は戻らない。
いつまでもホールで寝かせておくわけにもいかない。手首に噛みついた跡の傷からしたった血液が床に落ち、そこから影が浮かび上がる。人の形を成したそれは感情のない顔をした女に姿を変える。
両側からテオファニス様を支え、階段を見上げた時、こちらを見て呆然と立ち尽くすファナ様がいた。