蒼い炎


テオファニスside

「ファナ!!」
 突然ファナの体が傾く。キリルが咄嗟に腕を振って、血液を飛ばしたそこから無表情の女が形造られ、階段から崩れ落ちたファナをギリギリのところで受け止める。
 ほっと息をついたキリルに視線を向ける。
「キリル、大丈夫だ」
「なりません!お怪我を…」
 キリルが見るのは腹の傷か。…王子の奴、手加減せずにやりやがって…。
 だが、不思議と痛みがない。キリルの肩を離し、自分の足で立つ。…なぜ、いきなり痛みが消えた…。
 触れてみると、さらなる違和感に眉を潜める。感触がまるで普通だ。傷などないかのような…。ッまさか!?
 服の中に手を入れ、傷があったはずの場所に触れる。
 嫌な感触も、痛みも、何もない。そこにあるのは傷のない肌だけ…。
 まさか…、ファナが…?
「テオファニス様?」
「…傷が、ない」
「え?…そんなはずはっ」
 キリルが確認するが、反応など見なくても分かる。
 傷が突然消えたのだ。先ほどまでそこにあったはずの傷が…。
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