蒼い炎

 泣く泣く彼女を追い出し、二度とドアは開けないつもりだった。何度も、何度もドアを叩くステファナを無視して。
 まるで、初めてここに訪れた時のように。無遠慮に、品格など忘れたように、何度も何度も叩かれるドアを、無視して。
 何十年が過ぎたある日、不意に途絶えていたはずのノックが聞こえてくる。無遠慮に、けたたましく。彼女のノックが、聞こえてくる。
 だが、様子が少しおかしかった。
「テオファニス様、テオファニス様!!」
 泣きそうな声で呼ばれたのは初めてだった。無視したことへの罪悪感が、ドアのカギを開ける。勝手に開いたドアを共に飛び込んできたステファナは、少し大人びていて、最後に見た面影とうまく重ならない。
「…ステファナ」
「ッテオファニス様、どうか、どうかステファナを攫って…」
「…は?」
 よくよく見れば、まるで花嫁のようなドレスを纏い、きれいに着飾っていた。
 泣き止もうとしないステファナの背中をたたき、あやすが、きつく抱き着いて来るばかりだった。
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