蒼い炎
「…王子の側室に、呼ばれてしまいました」
「…それは、おめでたいじゃないか」
我々の始祖、王族の一族は、一夫多妻制。我々は子孫を残す力が弱く、新たな命が宿るのは奇跡と言っていいほど滅多にない。
王族は皇帝、始祖の血を絶やさぬよう、多くの女を仕えさせる。
正室の妻の他に、側室に十何人など当たり前だ。
だが、そんな場所でも城に上がることは名誉。喜ばしいことのはずだ。
なのに、泣いて嫌がるステファナにその“常識”が揺らぐ。
「ッおめでたくなんかありません!花嫁たちの行く末を、テオファニス様はご存じないの?」
「行く末…?」
花嫁たちは、子を宿した者のみが王室の残り、他は故郷へ返される。返されたとしても、その待遇は王に娶られた者として華やかな生活が送られるはず。
だが、ステファナは首を横に振る。
「そんなのただのおとぎ話よ!王の花嫁は、帰って来ない…」
「え?」
「ッ帰ってなど来ないのです!子を宿した花嫁さえ、幸せになど、…側室に未来などございません」
「…どういう、ことだ」
正直、意味が分からなかった。ステファナが言うことが、聞かされていた話とは似ても似つかない正反対の話のようだった。