蒼い炎
「花嫁様ですか。存知あげませんな。他を当たられるといい」
「ここに向かったという目撃証言がある。このような場所に屋敷を構える者は貴様以外にいない」
「それで、私が花嫁を匿っていると…。随分な言いがかりだな」
俺と王子の横をすり抜け、屋敷に足を踏み入れようとした者たちに視線を向ける。
…使うか。
頭の奥で、水が跳ねる音が聞こえる。直後、俺の背後にはどこからともなく茨が伸び、入り口をふさぐ。その茨を見た兵士どもは恐れ戦き、後ずさっていく。
王子だけが俺の恐怖を知らぬようだ。あまりに滑稽。
「お父上から聞かされなかったかな。荒れ地に住まう者との締約を」
「締約だと」
「どうやら聞かされなかったようだな。ならば、自己紹介といこうか。我の名はテオファニス。破滅の力を持つ者だ」
「ッ…カタストロフィとは貴様のことか!?」
王子の目が見開かれる。だが、この王子、自分で目にしたものしか信じぬだろう。だから、許せよ。