ディープ・アフェクション
「お前がどんだけ俺を男として見てなくても、家に上がっていい理由にはならねえから」
「……」
「てか自分の彼女が他の男の家に上がるとか普通に死ぬほど嫌だから。例えそれが“ただの幼なじみ”でもな」
捲し立てるようにそう言うや否や、皇明はすぐにドアノブに手をかけたから、慌てて「ね、ねぇ」と引き止めた。
鋭い瞳が此方に向く。
皇明に愛想がないのなんて今に始まった事じゃないのに、そのツンとした眼差しに何故か胸が苦しくなった。
「じゃあこの先ずっと、皇明とゲームしたり漫画読んだり、そういうのできないの?」
「……」
「しちゃ、ダメなの?」
「……」
私の問いかけに、皇明は絶妙な間を置いた。
その間、表情は無を貫いていて、相変わらず何を考えてるのかなんてちっとも分からなかった。
「逆に聞くけどさ、」
「…うん」
「なんで俺にそんなこだわんの?」
「……」
なんで、なんて。
そんなの聞かれても分からない。
ただ、当たり前のように隣に居たから。
ただ、疑問すら湧かないほど、習慣になっていたから。
ただ、それだけの事だ。
「別にもう俺じゃなくてもいいだろ」
「……」
「“彼氏”に付き合ってもらえよ」
吐き捨てるようにそう言った皇明は、じゃあ、と短く別れの言葉を告げて、早々に玄関のドアを閉める。
バタン、という無機質な音が、何故かいつまでも鼓膜にこびり付いた。