ディープ・アフェクション






「ねえ、彼氏がいるのに他の男の家に上がるのってダメなの?」


休み明けの学校にて。

登校するや否や、さっそくそんな質問を友人にぶつけると、スクールバッグを肩から下ろした彼女は怪訝そうな眼差しを向けて、口を開いた。



「普通にダメでしょ」

「…やっぱりそうなんだ」


やっぱり皇明が言っていた事は正しかったんだ。

小さな声を返した私に、友人は首を傾げる。



「なに?中尾先輩に“他の男と関わるな”とかそういうこと言われたの?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど…」

「じゃあなに?」

「うーん、実はね……」


不思議そうに目を丸くする友人に、土曜日の皇明との一コマを大まかに話した。

すると私のその話を聞いた友人は、開口一番に「皇明くん、偉いね」と皇明を褒めるから、私はムッと眉を寄せてしまう。



「これ、偉いの?気にしすぎじゃない?」

「いやいや、全然普通のことだから。むしろ里茉が気にしてなさすぎ」


ぴしゃりとそう言い切られてますます眉を寄せる私に「何その顔」と、友人も真似るように眉を寄せた。



「だって皇明と私だよ?幼なじみだよ?」

「あのね、幼なじみだろうがなんだろうが、男と女には変わりないんだからね?」

「そりゃそうだけど……」

「それにさ、いつまでもそうやって里茉が引っ付いてたら、皇明くんだって彼女できないじゃん」
「…皇明に、彼女…?」

「うん」


そんな事、考えた事もなかった。

逡巡するように顎に手を当てて、少し考えてみたけれどなんのイメージも浮かばない。

正直に「想像できない」と口にすれば、目の前の友人は溜め息混じりに口を開いた。

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