ディープ・アフェクション
「あのねぇ、あたしから言わせてもらえば“あの皇明くん”と2人っきりになるとか考えられないからね?」
「どういう意味?」
「里茉は小さい時から一緒に居るから見慣れてんのかもしれないけど、皇明くん、学年イチ…いや、この高校イチのイケメンだと思うよ」
「……」
皇明の顔が整っていることくらいは私だって分かってる。何も知らなかった幼い時でさえ、皇明の見目が良い事はなんとなく気づいていた。
「皇明くんって無愛想だし目付き悪いから近寄りにくいだけで、狙ってる子はうじゃうじゃいるからね」
「……」
「中尾先輩はもちろん、皇明くんためにも、ちゃんと“節度な距離”を保ったほうがいいよ」
いつになく真剣な面持ちでそう助言してくれた友人に「分かった、ありがとう」と小さな声を返した。
どんなに願っても時間は止まってくれない。
いつまでも子供のままではいられない。
1分1秒ごとに、毎日なにかが変わっていて。
私たちは、いろんな変化に包まれて、そうして大人になっていくんだ。
「──里茉ちゃん?」
ふいに鼓膜を突いた声にハッと我に返る。
弾かれたように顔を上げれば、心配そうな面持ちをした先輩が私の顔を覗き込んでいた。