ディープ・アフェクション
俺はずっと、あの日を後悔していた。
あの河川敷で、里茉と泥まみれになったあの日を、ずっと。
里茉は一度に沢山のことを言われると、すぐに対処できない。ゆっくり考える時間を与えないと、焦って、最善の決断ができなくなってしまう。
あの日の俺は、それを逆手に取った。
あんな風に詰めよれば、里茉は絶対に流される。そう踏んだ上での行動だった。つまりは、確信犯だった。
捲し立てるように言葉を並べて、距離を詰めて、考える余地なんてなくして、俺を選ばざるを得なくなればいいと思った。
そうまでしても、俺は里茉が欲しかった。
里茉が言った『ずっとこのままがいい』という言葉は、俺にとっては呪いに近い。
里茉は俺と、抱き合ったり、触れ合ったり、そういう意味で俺を好いていた訳ではない事は重々分かっていた。
俺が一方的にそういう意味で好きで、触れたくて、仕方がなくて。
きっとそれはこの先、覆されないと思っていた。
でも、今、こいつは泣いてる。
どこも痛くないのに。
俺との“別れ”を想像して、それがつらいと言って、泣いている。
「……っ」
喉元に何かがせり上がってくる。目頭が熱くなって、里茉の肩に目元を押し付けた。
それは少し、泣きそうな感覚に似ていたと思う。