最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 その様子を見守っていたセシリアに、アルヴィンが小さく声を掛ける。
「フィンも中にいるようだ。だが、正気ではない」
「!」
 彼の持っていた魔道具は、完全なものではなかった。主であるアレクの暴走を心配して近付き、逆に操られてしまったのかもしれない。
「こちらの様子を伺っている。結界が消滅すると同時に攻撃してくるだろう。防御を頼む」
「ええ、任せて」
 ララリとリアスを守るように前に立ち、セシリアは頷く。ただ守られるのではなく、こうやって頼られることが嬉しい。結界を破れなくて少し落ち込んでいたことに、アルヴィンは気が付いたのかもしれない。
「そろそろだ」
 アルヴィンの言葉に緊張しながら、セシリアは防御魔法を発動させる。硝子が砕けるような音がしたかと思うと、風の刃が複数、こちらに向けて放たれる。
 風の攻撃魔法だ。
 ララリとリアスも防御しようとしたが、それよりも早く、セシリアの魔法が四人を包み込んだ。風の刃は弾き飛ばされ、空に消える。
 結界が消えた王城の前には、アルヴィンの言っていたようにフィンが立っていた。彼の視線は虚ろで、魔法が防がれたことにも動揺した様子はない。
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