最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 父はセシリアの母と出逢うまで、他人にまったく関心を持たなかった。だから公爵家の嫡男が、貴重とはいえ魔法書と引き換えに子爵家の娘を娶ってしまったのだ。
 でもそのせいで、兄はとても苦労をしていた。
 公爵家の嫡男なのに、魔力が子爵家の者程度しかないのだ。だから毎日のように部屋に籠り、必死に勉強をしている。
 十二歳の兄は、三年後には貴族の血を引く者だけが入れる魔法学園に入学する。それまで、少しでも魔力を伸ばしたいのだろう。
 セシリアの母は、その兄の母が亡くなったあとに嫁いできた侯爵家の令嬢だ。
(だからお兄様より、わたしのほうが魔力は強いのよね。そのせいで、お兄様は追い詰められているのだわ)
 思考がセシリアのものに切り替わると、口調も貴族の令嬢のものになる。
 それをどこか不思議に思う。

 セシリアの母は、身体は弱いが魔力は普通の侯爵家の者よりも強く、父はこの国で一番の魔導師だ。
 ふたりの血を受け継いだセシリアの魔力は、同い年の王女と同じくらい強いと言われていた。
 魔法以外に興味を持たなかった父は、セシリアの母と出逢って変わった。今では、母を何よりも大切にしている。
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