そんなことを思いながら、遊馬さんを見ると彼はわたしに全く気づいてない様子だった。

それなら邪魔をしない方がいいと思い、部屋を出ようとしたら後ろから猫の鳴き声がしてびっくりして、壁に頭をぶつけた。

頭をぶつけた音に次は猫がびっくりして逃げて行き、遊馬さんはわたしに気づいたようだった。

申し訳なさが否めなかった。
遊馬さんはすぐに保冷剤を持ってきてくれた。
後ろにはさっき逃げた猫もいた。

「ごめん、こいつちょうどこの時間はいつもここにくるんだ。」

こいつと呼ばれた猫はまだ体の小さな茶トラ。無抵抗に足を拭かれている。

「そうなんですね。まだ子猫ですか?」

猫はわたしのほうを見ることなく部屋に入る。

「多分、そうだと思う。」

遊馬さんも部屋に入るとすぐに猫は彼の膝の上に寝た。

「雛木さんも中に入ったら?」

襖の前でしゃがんでいたわたしは促されて部屋に入った。
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