「あの、この部屋って遊馬さんの部屋ですか?」

彼は首を少し捻って答えた。
「ここにいる間はね。」

「そうなんですね。」
男の人の部屋に入るのは初めてだけどあんまり緊張は感じなかった。
ずっといるわけではないからかもしれないけど。

それよりも遊馬さんとの会話の話題がなくて沈黙が流れる方がわたしにとっては緊張があった。

人の部屋を見渡すのもよくないと思って、さっきから全く目を合わせてない猫を見つめている。

一点を見るのが疲れてきて目線を外す。
さっき、遊馬さんが集中して書いていたらノートがあった。

「あの、そのノートに何を書いてるんですか?」

ノートを取って、見せてくれた。
色鉛筆で書かれたお菓子のイラストと沢山の文字でノートが埋められていた。

「作ったお菓子のレシピをかいてあるんだよ。さっきは改善点を考えてた。」

たしかに机の上には食べかけのパウンドケーキも置いてあった。
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