ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「蒼斗は蒼さんって言えない? 真似してみて。そ、う」

「と、う」

「惜しい。そ、う、だよ」

「と、う」

 何度練習しても「とう」になる。

「蒼さん」

「とうしゃん」

 これはまずい。まずいんだけど、胸にグッときて目の奥が熱くなった。

 呼び方をどうすればいいのかと頭を悩ませていると、蒼斗が目をぱしぱしとさせる。眠いときにやる仕草だ。

「お昼寝しようか。さっきの大きくてふかふかのお布団で寝るんだよ」

「いいねえ」

 ご機嫌な表情になって、蒼斗は廊下に飛び出て寝室へと走り出す。私よりすでにこの家に馴染んでいるかもしれない。

 それから蒼斗を寝かしつけ、寝室のドアは開けっ放しにしたままリビングへ戻った。マンションでは部屋が繋がっていたからよかったけれど、ここは寝室とリビングに距離がある。

 眠っている様子がわかるようにモニターとか買った方がいいのかな。部屋が広く障害物が少ないからすぐ走るし、裸足で過ごさせるか、滑り止めのついた靴下を買い足すか。

 蒼さんがマットを買うとか口走っていたけれどそこまでさせられない。

 ……ずっと頭を使いっぱなしですごく疲れた。

 一服しようとキッチンへ足を向けたら、ダイニングテーブルに黒色のカードが置いてあってなんだろうと覗き込んで目を剥いた。
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