ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「じじいでいいぞ」

 そして父親は仏のような笑みを浮かべて大きくうなずいた。初孫だから、どんな振る舞いをされても可愛くて許せるのかもしれない。

「じじい!」

 蒼斗が許可を得て盛大に叫んだせいで、ぶはっと噴き出してしまった。

「やめて、お腹痛い」

 実際にお腹を抱えて笑うと、蒼斗も大きな口を開けて「あっはっは!」とおどけるように笑った。

 張りつめた雰囲気から、無邪気な子供のおかげで場の空気がやわらかくて温かなものへ変化した。

「何度も練習したのにな」

 蒼さんが残念そうにこぼしたので「えっ」と驚く。

 私は事前に練習させるという考えすらなかった薄情者なので、思いやりのある彼の行動に胸が温かくなった。
< 167 / 193 >

この作品をシェア

pagetop