ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 蒼さんが抱っこをして父親に近寄ると、再び手を伸ばして白髪交じりの髪に触れて左右に動かした。

「いたいのいたいの、とんでけー」

 予想していなかった行動に皆が目を丸くするなか、蒼斗はもう一度同じ台詞を口にする。

「……ありがとう。蒼斗くんのおかげで飛んでいったよ」

 父親の笑顔に、蒼斗は満足そうに拍手をした。

「お父さんが泣きそうな声でうつむいたから、本当に泣いていると思ったんじゃないかな」

 一応補足すると、両親はなるほどと納得する。

「子供というのは純粋だな」

 蒼さんは感心したようにつぶやいているけれど、こっちは聞きたいことがいっぱいだ。

 じとりとした目を向けると、蒼さんはふっと優しく目を細める。

「話はふたりきりになってから」

 まあ、それもそうか。私がさっき蒼さんと惚気に似た会話を躊躇したように、ここで話せない内容も多いかもしれない。

 うなずいて母親に視線を移す。

「寝かしつけはどうにかなるだろうけど、お風呂は大変だと思う。入れるところまでは私がいた方がいいんじゃないかな」

 リハビリをして麻痺が軽度になったとはいっても、自分の身の回りのことをするのと、二歳児の世話をするのとはわけが違う。想像以上に体力を使うはずだ。
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