【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「それで逃げられたって、何か盗まれてないか? 美人局(つつもたせ)だったらシャレにならないぞ」

「いや、彼女はそんな女じゃない。律儀にお金を置いていったし……」
「いったし?」

「……いや、とにかく何も盗られていないし悪意もなかった」

 ――ただ子守唄を歌ってくれたんだ……なんて言えるかよ!

「なぜか忘れ(がた)いと思っているだけだ」

 琥珀色の液体を一気に喉に流しこむと、胸がカッと焼けて熱くなる。
 心の奥のモヤモヤしたものが誤魔化されるようで、「もう一杯」とグラスを差し出した。

「これは面白い話が聞けそうだな。まあ、ゆっくり飲んでいけよ」

 悠はグラスに丸氷を入れてオン・ザ・ロックにすると、これ以上にないほど楽しげにこう言った。

「臣海、それってさ、ハートを盗まれたってヤツじゃないの?」

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