【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
『優也さん、話をしたい。18階のバーで待っています』
短い文字を打ち込んで、彼からの返事を待った。
これで最後になるにしても、きちんと話をしてお別れしたい。
だって彼は私の初恋で初めての相手。彼と付き合っていた1年8ヶ月すべてが嘘だったとは思いたくないから……。
けれど彼からの返事は非情だった。
『悪いけど、もうこういうのはやめてほしい』
『菜月は俺が考えてたイメージと違ってた』
『デートのたびにお弁当を作ってくるとか、普通は無いだろ。こっちはオシャレな店に行きたいのにさ』
『パッと見クールな感じでいいかなって思ったけど、中身はオカンでドン引きしてた』
『俺とのことは忘れてほしい。お互いのために公言はしないようにしよう』
『さようなら』
その後すぐにブロックされて、2人の関係が本当に終わってしまったのだと悟る。
「違うか、始まってもいなかったんだ」
目の前に置かれたトールグラスを鷲掴み、中のカシスオレンジを一気に飲み干した。
カシスオレンジはアルコールに詳しくない私に優也さんが『飲みやすいよ』と教えてくれたカクテルだ。
カクテルだけじゃない。彼には大人の恋を教えてもらった。