【2/4 番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「ううん、私の代わりに怒ってくれてありがとう」

 ミヤちゃんが謝る必要はない。
 だって私も同じことを薄っすら思わなくもないから。

 改めて考えたら、私は彼から『仮の恋人』の『仮』が取れたとは言われていなかった。

『好き』とか『愛してる』と言ってくれた彼の言葉を疑いたくはないけれど、ここまで放置されてしまったら、さすがに今も仮のままなのでは……と不安になってくる。

 臣海さんは有名なプレイボーイ。遊ぶ相手に事欠かないだろう。

 あれは旅先でのノリだったのかも……とか、帰国して冷静になってみたら私みたいな平凡でオカンな女とは付き合えないと目が覚めてしまったのかも……なんて脳内でグルグル悩んだりもした。

 それでも彼と交わした会話や彼が示してくれた行動を思い返せば、そこに愛情を感じずにはいられなくて。

 ――それに何より、私が臣海さんのことを好きだって思うし。

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