【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「菜月、私のせいで、ごめん……」
隣でミヤちゃんが何度も鼻をすする。
「ううん、おかげで夢から醒めた。これでよかったんだよ」
「臣海さん、酷すぎるよ……婚約者がいたなんて」
「まあ、仕方がない。そんな男に騙された私も悪いんだし」
婚約者の存在に気づかなければ、何も知らずに以前と同じ過ちを繰り返していたに違いない。
――うん、仮のうちに気づけてラッキーだった。
小雪混じりの北風が頬をピリッと擦りながらホームを吹き抜けていく。
――ニンニク、食べなきゃよかったな……。
この期に及んでそんなことを考える自分に苦笑しつつ、夜空を見上げて大きく息を吸う。
肺いっぱいに冷気が入り込み、身の程知らずな恋を醒ましてくれるみたいだ。
――うん、これでよかったんだ。
鼻の奥がツンとして、私は唇を震わせながら大きく鼻をすすった。