【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 ――馬鹿だ、私。

 すぐにでも彼の番号を消すなりブロックするなりできたのに、それをしなかったのは未練があったからに他ならない。

 これでよかったとか仕方がないとか言いながら、彼が納得のいく言い訳をしてくれるなら……なんて期待して。

 飛びついた電話で別れを告げられ泣きそうになっているなんて、2年経っても成長しなさ過ぎ。


「……うん、わかった。謝らなくたっていいよ。騙された私が悪いんだし、仮の恋人の時点であなたの本性がわかってよかったと思ってる」

「はぁ? 仮の恋人!?」

 電話の向こうから呆れたような声がして、続いて「どうして仮なんだよ!」と鼓膜を震わせるほどの大声で怒鳴られた。

 ――ええっ、叱られた!

 裏切られて怒っているのは私のほうなのに、どうして怒鳴られなくちゃいけないのだろう。
 なんだかカチンときて言い返す。

「二股をかけられて怒っているのは私のほうなんだけど?」
「だからその誤解を解くために電話したんだろうが。二股をかけちゃいないし仮でもない!」

 怒ったつもりが怒り返されてしまった。理不尽すぎる。

 ――でも……。

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