【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「それってつまり、手切金っていうやつですか?」
「お好きなように受け取っていただいて構いません。私の独断で金額を上乗せする許可をいただいておりますので、不足であればさらに百万……」
その言葉を聞いた途端、頭にカッと血がのぼる。
馬鹿にしないでほしい。人の気持ちをお金で動かそうとするなんて、冗談じゃない。
同時に臣海さんが住んでいる世界の恐ろしさを察することもできた。
私はまだ彼について知らないことのほうが多いし、彼の母親が義理だということさえ婚約者の環妃さんから聞かされたくらいだ。
それでもこんな人たちに囲まれて過ごす臣海さんは、孤独や寂しさをずっと抱えていたんじゃないのかな。
――あの夜、私にしがみついて泣いたのだって……。
彼の心が満たされていない証拠なんじゃないかと思うのだ。