【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
だから私は鮎川さんを真っすぐに見据えて答えた。
「……いりません」
「えっ」
「お金なんていりません。この小切手はお返しいたします」
そのままテーブルの上の小切手を押し戻すと、彼は顔色ひとつ変えずに「臣海様とお金の両方を失うよりも、お金だけでも受け取られたほうが得策なのでは?」と淡々と述べる。
「お金が必要なら自分で稼ぎます。それに私は臣海さんを失う気はないですから」
私が一息で言い切ると、彼は小切手と私を交互に見てから口を開いた。
「あなたがお金で割り切ってくださる方であれば簡単でしたのに」
そう言って眼鏡をクイッと持ち上げてみせる。