【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「失礼ながら北見様のことを少々調べさせていただきました。あなたは早くにお父上を亡くされ、看護師のお母様と双子の弟様とともにご苦労なさってきたとか。そのような方が環妃様を差し置いて久遠家の社長夫人になれるとお思いですか?」

 臣海様はKUONグループになくてはならない存在だ、彼のご両親は間宮家との結びつきを強く望んでいる……と続けると、最後に「もらえるものはもらっておいたほうがいいと思いますよ」と、新しい小切手に500万と書き込んだ。

 私は小切手を一瞥し、改めて姿勢を正す。

「私はあなた方に施しを受けるほど生活に困ってはいません」

 たしかに父を亡くした当時はバタバタしたし、1人で子供3人を抱えた母は大変だっただろうと思う。

 けれども母は看護師としてそれなりの収入を得ていたし、父の遺してくれた貯金や生命保険もあったから生活に困窮したという記憶はない。

 私も家計に負担をかけないようバイトをしたり奨学金を得たりしたけれど、そんなことは多くの学生がやっていることで。

 おかげで今では憧れだったCAとして働けているし、それを理由に他人から見下されるいわれはないと思う。

 
「……正直言えば、彼との結婚だとか社長夫人とか、そこまでのことは考えていませんでした。けれど今、これだけは言えます。彼は孤独だっただろうなって」

 ただ彼と一緒にいたいし、彼の支えになりたいだけだ。

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