【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「はぁ〜っ、やっと帰った」
私は大きく息を吐くと、その場でテーブルにうつ伏せた。
手切金を渡されるなんて、ドラマか小説の世界だけだと思っていた。そして臣海さんはそんな世界の住人なのだと改めて思い知る。
「あれで納得してくれた……のかな」
今日は一旦帰ってくれたけれど、もしかしたらまた違う手段で説得しに来るのかもしれない。
「でも絶対に、負けないし」
さっきのやり取りで確信した。私は臣海さん本人から告げられない限り、この恋を諦めたりしない。
意地になってるとか無気になってるとかじゃない。彼には私が必要なんだって思えるから……。
緊張の糸が解けたからだろうか、不意に涙が込み上げてきた。
何の涙なのかはわからない。
悔しいのか悲しいのか力のない自分が情けないのか。
ただそれ以上に、KUONグループの重圧を負った臣海さんの孤独を想うと何よりも泣けた。