【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 久遠家での俺の世話は、主に住み込みの家政婦と運転手、そして家庭教師の役目だった。

 家庭教師は国語と算数と音楽のほかに、英会話や中国語、マナー講師と様々で、日替わりでやって来ては学校が終わってからの数時間みっちり仕込まれる。

 ちゃんと学校に通っているのにどうしてここまで勉強をしなきゃいけないんだと思ったが、運転手と家政婦の立ち話を聞いて腑に落ちた。

『新しい環境でストレスが溜まってるだろうに、あそこまで厳しくしなきゃいけないもんかねぇ』
『私もそう思うんだけど、奥様が『KUONグループの後継として恥ずかしくないように』っておっしゃるもんだから』

『まあ、奥様も複雑だろうしな』
『そりゃそうよ、正妻との間に子供ができないからって昔の遊び相手の子供を引き取るだなんて、旦那様も酷いことをなさる』

『養子じゃダメだったのかな』
『やっぱり血の繋がった実の息子がいいってことなんでしょうね』

 ――そうか、そうだったんだ。

 俺は息子として望まれたわけではなく、KUONグループの後継者としてここに呼ばれたのだ。

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