【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
自分の愚かさを笑いたくなる。
母を捨てた男を憎みながらも、心のどこかで母の言葉を信じてもいて。
久遠龍臣は一時的にせよ俺の母親を愛していた。そして息子である俺を家族として迎えに来てくれた……そんな期待が一瞬で消え去った。
それと同時に、自分の存在価値は会社の発展のためだけにあるのだと思い知る。
ここで息子としての愛情を求めることはできない。今さら祖母のいるアパートにも帰れない。
『俺はどうしたらいいんだよ』
――ここで嫌われたら行き場所がない。
小6の無力な少年ができることなんて大してなくて、考えたことが、愚かにも『機嫌取り』という手段だった。
いや、もしかしたらこの先少しでも心を近づけることができるかも……などという甘い期待をまだ持っていたのかもしれない。