【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

 高校生活は想像以上に楽しかった。
 寮では細かいルールが決められているものの時間さえ守れば外出はできるし遊びにも行ける。俺の出自(しゅつじ)を知るヤツもいない。

 母から聞いていたニューヨークの街に実際に立ったからか、それともあの家から出られた開放感からなのか……その頃からたびたび夢に母親や幼い頃の自分が現れるようになった。

 しかしまだその頃は幸せな情景と悲しい記憶がおぼろげに浮かぶ程度で、悪夢と呼ぶようなものではなかったと思う。

 ひどくなったのは高校卒業後に帰国して一人暮らしをはじめてから。

 同じくニューヨーク校から附属大学に進学した女子に告白されて、彼女の部屋で初体験を済ませた。
 セックスで人肌に触れ、記憶の扉が完全に開いたのだろうか。俺はその夜からたびたび悪夢にうなされるようになる。

 その内容はやけにリアルなものだ。
 祖母と近所の主婦の立ち話をうつむいて聞いている自分だったり、メープルシロップのピッチャーを倒して手をベタベタにしているところだったり。

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