【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「――そうか、菜月は小切手を突き返したか」
「お金が必要なら自分で稼ぎます! って啖呵を切られました。それどころか秘書のくせにどうして彼の実力を信じないんだ! って説教されましたよ」
「ハハッ、今流行りのオカン女子だからな」
「そんなのが流行ってるなんて聞いたことないですよ」
呆れた口調ながらも、心なしかその顔は嬉しげだ。
「いい女だったろう?」
「たしかに臣海様が選んだだけはあると思いました」
「俺のだ。惚れるなよ」
「惚れませんよ!」
そんな会話を交わしつつ、キャリーケースを引いて廊下を歩きだす。
――んっ!? ということは、菜月はまだずっと不安なままで……。
「おい、どうしてもっと早く教えなかったんだ! 環妃さんが何を言ったか知らないが、フォローもせずに放置したら菜月に捨てられてしまうじゃないか!」
慌てて駆け出そうとする俺の腕を鮎川がガシッとつかむ。