【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜
「久遠様、いつもご利用いただきありがとうございます。担当の北見でございます。ご用がありましたらお申し付けください」
「ふぅ〜ん、あんた北見っていうのか、黙って逃げ出したから名前も知らなかっ……」
「ちょっ、久遠様! お飲み物はいかがですか? こちらにワインリストがっ!」
ブリーフィング情報はこんなにもあてにならないものだったのか。
呼ばれない限り声をかけなくてもいいと聞いていた乗客、久遠臣海は、驚くほど頻繁にコールボタンで私を呼びつけた。
「クリュッグとアミューズをくれ」
「はい」
「年齢は?」
「……それは申しかねます」
「CA何年め?」
「えっ、5年めですが……」
「なるほど、27か28だな」
――ひゃっ! 計算が早い!
「少し横になるからベッドメイキングを頼む」
「はい」
「ニューヨークの宿泊先は?」
「そういう質問にはお答えしかねます」
引き攣った笑顔で答えれば、彼は顎に手をやりニヤリとする。
「ふぅ〜ん、まあいいだろう。どうにでもやりようがあるからな」
――ええっ!? やりようって、何をするの?
戦々恐々としつつも、どうにかあの夜の核心に触れることなく時間は過ぎる。
――久遠様の考えはわからないけれど、このままあと数時間したらニューヨーク。そこでお見送りすればいいだけ!
そう考え、目の前の仕事に集中することに尽力した。