【6/15番外編追加】一夜の恋じゃ終われない 〜冷徹ホテル王の甘い執着〜

「――こちらが先日お話しした、俺の恋人の北見菜月さんです」
「北見菜月です、はじめまして」

「はじめまして、臣海の父親の久遠龍臣です。本日はよくいらしてくれました」

 久遠さんは上品なロマンスグレーの風貌で、口元がどことなく臣海さんに似ているような気がした。
 いきなり怒鳴りつけられても仕方がないと覚悟してきたので、穏やかなスタートに拍子抜けする。

 しかし彼が、「私が呼ぶまで誰も入ってこないことになっているが……食前酒(アペリティフ)をオーダーするか、それともこのまま話をはじめるか?」と言葉を発した瞬間に室内にピリッとした空気が流れた。

「いえ、まずはこのままで」

 臣海さんが姿勢を正して正面を見る。

「今回の婚約解消ではご迷惑をおかけしました。先日は私の意向を汲み一緒に謝罪に出向いていただいたこと、改めてお礼を言わせてください」

 ゆっくりとお辞儀する臣海さんにならい、私も慌てて頭を下げる。

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